「咲哉!香月は?」
保健室のドアを開けた俺は、咲哉に向かって叫んだ。
椅子に座って呑気にコーヒーを飲んでいた咲哉がこっちを向いた。
「あぁ?香月なら奥のベッドで寝てるぞ」
「ケガは?」
「ただの捻挫だと思うけど、一応、病院に連れて行った方がいいと思ってな」
「そっか……」
俺は咲哉のとこに行き、荷物を机の上に置いた。
「でも、どうしてケガなんか……」
「体育の授業の時に転んだみたいだな」
「何で?」
「香月の話だと暑さで足が絡んだとか言ってたけど……」
暑さで足が絡むことってあるのか?
それに香月って運動神経良さそうに見えるけど……。
まさか………。
俺の頭に吉川の顔が浮かんだ。
それはないか。
教師という立場で生徒を疑うなんて……。
俺って最低だな。