教室に入ると、休み時間で騒がしい教室の中が一気に静かになった。
俺は香月の机に行き、ナップサックと鞄を持った。
一応、机の中を見る。
「先生?どうかしたの?」
吉川が話しかけてきた。
「香月がケガしたらしくて。早退させて病院に連れて行くから荷物を保健室に持って行かないといけないんだ」
俺は机の中の教科書やノートなどを鞄の中に入れながら言った。
「どうして先生がそんなことするの?自分で取りに来させればいいでしょ?」
あぁ!もう!煩いよ!
「そうだな」
俺は吉川をチラッと見た。
吉川は目を見開き俺を見る。
「じゃー何で?何で先生がそこまでするの?」
吉川は苛ついたように言った。
「担任だからだ」
俺は笑顔でそう言うと、香月の荷物を持って教室を出た。
この時、香月のメモ帳を落としたことに気付かずに――。
そのメモ帳を吉川に拾われてたとは………。
知る由もなかった――……。