「香月?」
阿川先生が私の肩をポンと叩いた。
『ん?』
顔を上げて阿川先生を見る。
「ただの捻挫だと思うけど、念のため病院に行った方がいい。川瀬先生に荷物を持って来るように頼んでやるから、それまでベッドで寝とけ」
『えっ?い、いいよ』
私は首を左右に振った。
「俺の言うことを聞いとけ。なっ?」
『う、うん……』
「ベッドまで行けるか?それとも俺が運んでやろうか?」
阿川先生はニヤッと笑った。
『先生のエッチ!自分で行けるから』
私は立ち上がろうとしたけど足が痛くて、また椅子に座った。
「ほれ!」
阿川先生が私に背を向けて少ししゃがんだ。
なんだ、おんぶか……。
お姫様抱っこだったらどうしようかと思っちゃった。
私は阿川先生の首に手を回した。
阿川先生は軽々と私をおんぶすると、ベッドまで連れて行ってくれた。