“ドンッ!”
誰かがぶつかってきた。
その弾みで倒れる私。
いたっ!
足に激痛が走った。
その横を何人も生徒が通り過ぎていく。
ジャージの熱血教師が駆け寄ってきた。
「大丈夫か?」
熱血教師の問い掛けに、私は頷いた。
「立てるか?」
再び頷いて、立ち上がろうとした。
いたっ!
左足首に激痛が走る。
痛さで顔が歪む。
倒れた時に足首を捻ったのかな。
「無理するな」
熱血教師は私を抱き上げた。
世間で言うお姫様抱っこ。
生まれて初めてのお姫様抱っこが、このジャージの熱血教師だなんて……ついてない……。
熱血教師は生徒たちに何か言うと、私を抱き上げたまま保健室に向かった。
その時、吉川麗華が“ニヤリ”と笑ったのが見えた。