敬語を使って一線引いておけば、これ以上仲良くなる事はない。


仲良くならなければ、好きになる事もない。


そう思って私は、春樹さんに敬語を使ってたんだと思う。


「……春樹さんって凄いね。人の心が読めるみたい」

「凄くないよ。涼の事だから何となく分かっただけ」

「私の事だから?」

「うん。好きな人の事は何となく分かるもんだ」

恥ずかしがる素振りも見せずに、そんな事を言って微笑む春樹さん。


私の胸はドクンと脈打った。


「あれ? もしかして照れてる?」

「え!? まっ、まさか!! 照れるわけないじゃん!!」

「そう? でも、顔が赤くなってるぞ?」

「嘘!?」

「あはは。涼は本当に嘘がつけない子だな」