「……」

「だけど、俺に本心を伝えた事で――自分で自分の気持ちを認めた事で、“線引き”をする必要がなくなった。それで自然に敬語が消えたんじゃないかな?」

「……」


何だか……春樹さんに心の中を見透かされてるようだった。


春樹さんの言ってる事は、全部当たってる気がする。


私はおかしくなってしまいそうな自分が嫌で、未知の世界から逃げたくて、心のどこかで歯止めをかけてた。


その事に私自身、今日の出来事で気が付いたわけだけど、敬語を使ってる理由まではあまりよく分かっていなかった。


でも、春樹さんに言われて納得した。


私の中での春樹さんへの線引き――つまり“拒絶”は、敬語を使う事で成り立ってたんだと思う。