「篠山…お前」
植田弟がか細く俺に呟く声が聞こえる。
誰かに俺のアネキへの想いを言ったのは初めてだった
誰かに言うつもりなんて無かった…ましてやこんなアネキを傷つけようとするヤツに
でも、
ふざけるなと思った。
自分だけが香奈を想って気持ちが届かないのはお前だけじゃないって言いたかった
『俺はお前らが羨ましいよ…』
掠れるように
唸るように
漏れた言葉を聞こえたかはわからない。
俺はベットに寝ているアネキに近づいて抱き上げる
『次こんなことしやがったら…お前殺すからな』
そう一言呟いて出ようとしたのにドアに手を掛けた瞬間
「……ごめん」
と植田兄の声が聞こえた。