「秀…こんなアニキでビックリしたか?? 家では何でも出来る完璧なアニキだもんな…… まぁ、そんな僕をお前は嫌ってたけど」
自嘲気味に笑うその姿に何故か俺はイライラする。
自分が不幸だ…寂しいんだ
とあからさまに言っているみたいだ
「あぁ、嫌いだよ。完璧なアニキと毎回比べられる馬鹿な弟の身にもなれよっていつも思ってた」
視線を下にしてゆっくりと言葉を紡ぐ
「だからアニキが香奈さんに惚れてるのを気付いた時に奪ってやろう、って思った。アニキよりも女の扱いには自信があるし負けるとかも思わなかった」
ふと、
植田弟はアネキに視線を向ける
「アニキが香奈さんと居るときは完璧じゃなくてさ…何か人間っぽくて………俺、そんなアニキが嫌いじゃなかった。だからアニキの恋を邪魔するのやめた」