その言葉にそいつは一瞬目を見開いた後、
再び笑顔を引き吊らして

「そうですか」

と言う姿に馬鹿な俺は少し勝った気でいた。
……“弟”って時点で男として見ても貰ってないのに




「あ。篠山さん、次の料理ですけど……」
と仕事の話を始めるとアネキは

『准、学校戻りなよ!』
と一言残して、
店に戻って行ったと思ったら



植田兄が、
大人の余裕ってヤツなのか
俺に爽やかにおじぎして……

「じゃあね、准くん」

と笑顔で言った。