『…うん』
俺は手にあるパンを握り締める



「………本当にお前、香奈ネェの気持ち考えてやれよ」
いっきに低くなった遊の声に驚いて顔を上げると今までに見たこと無いような恐い目で俺を見ていた

「日曜日の夜…香奈ネェとスーパーでたまたま会ったんだ。ずっと魚を二匹カゴに入れたり一匹戻したりしてた。“准がいるんだから二匹買ったら?”って言ったら泣き出したから、マジで焦ったよ」

『アネキが……泣い、て?』
俺の前でも泣かないのに??



「“准はあたしのこと要らないのかな”って言ってた」