いい加減立ち去ろうと空の横を通った時…

「ちょっと待って!これ。」

空は、奴の傷口に当てているハンカチとは別に、鞄の中から新たにハンカチを取りだし、俺に差し出した。

「空、それ大切なハンカチなんだろ?」

「うん…でも怪我をしているみたいだから…。」

「あなたも怪我をしていますよ。」

そう言って手渡された苺柄のハンカチには見覚えがあった。




苺柄のハンカチ…




俺が、空にプレゼントをしたものだった。

なんで…

なんで持ってんだよ…

なんで…







空は昔から誰にでも優しく、凄く気のきく子。

変わらぬ空の優しさに触れ、心のヒビが少しだけ埋まった気がした。

俺は礼も言わず、その場から走り去った。



良かった…


空の顔の傷…













綺麗に治っていた。