「美空〜!!!」

「ねぇねぇっ!!大変!!大変!!」

「驚くなよぉ〜!!」

クラスの中で一番のギャルの美月と、親友の春香が満面の笑顔で息を切らしながら走って来た。

「どうしたの?そんなに急いで?」

「あのね、あのね、糸井先輩がね、美空の事好きなんだって〜!!」

「えっ?!糸井先輩が?!」

「うん♪うん♪どうするのぉ〜?!」


糸井海斗君。


私の事を、好きだと言ってくれた人。

私より一つ年上で、糸井総合病院の息子。

サッカー部のキャプテンで、格好良い上に頭も良く、男子からも女子からも好かれる人気者。

「どうするって言われても…。全く知らない人だし、何かの間違いだよ。」

周りがオシャレに目覚めて髪を染めたり、お化粧をする中、私は髪も黒く、化粧も全くした事がない。

こんな私の事を、知っているはずがないと思っていた。

「来るよっ!!」

「何が?!」

「今から、糸井先輩が美空に告りに来るんだよ!!!」

「えぇ!?」

廊下から、何やらざわめきが聞こえた。