<及川美空さん、至急職員室迄来て下さい。>

休み時間、春香達とおしゃべりをしていると、校内放送が流れた。

何故か嫌な予感がした。

職員室へ行くと、担任の先生が、私を急かすよう手招きをした。

「及川、お父さんから電話が来ている。」

そう言って先生は、私に受話器を手渡した。

「もしもし?お父さん?」

「空…お母さんが交通事故に遭ったって。」

「えぇっ!!!」

「今、糸井総合病院から電話が来たんだ。」

「えぇ?!お母さん…お母さん、大丈夫だよね?」

「お父さんも、まだ詳しい事は分からないんだ。今、空港に居るんだけど、今から飛行機に乗っても2時間はかかる。空、先に行ってお母さんの側に居てあげてくれないか?もう5年生だから大丈夫だよな?頼んだよ。」

「うん…分かった。」

心臓が今にでも壊れそうな程、激しく鳴り響いた。

不安で不安で体中が震えてきた。

どうして良いのか分からなく、目の前が真っ暗になっている私の前に一つの光が現れた。