ここで過ごした三年間。
辛いこともたくさんあったけど、楽しいこともたくさんあって。
全部が掛け替えのないもの。
だから、これから迎える後輩達にその思い出のお手伝いができる先生になりたい。
「…でも、もう柳も今年で23だろ?俺も歳取るわけだ。」
そう目を細める、村川先生。
「村川先生若いじゃないですか。確か、40代ですよね?」
「今年、43だよ。もう子供も中学生で…。教え子が大学卒業して一人前になって。俺はどんどん老けて。」
そうしょぼくれる先生。
「そんなことないですよ、先生若く見えますよ。35歳くらいに見えます!」
「…どっちにしろ、アラフォーか…。」
そう落ち込む先生。
フォロー失敗、か…。
「久しぶりね、柳さん…いえ、柳先生。」
振り向くと胸元の真珠が眩しい、理事長。
「お久しぶりです。この度は採用していただきありがとうございます!」
咄嗟に立ち上がり頭を下げる。
「期待してますよ?」
理事長はそう言い残し、相変わらずきつい香水の匂いだけを置いて職員室を後にした。