章の隣で歩くのは久しぶりで、なんだか懐かしくて青空を仰ぐ。
「…ねえ、章。」
「なに?」
「章、すごく頭いいのにどうしてもっと偏差値の高い高校行かなかったの?」
前々から疑問に思ってたこと。章はずば抜けて頭がよかった。高校だってもっとレベルが高いところ狙えたはずだ。
「あー…」
章は私を見て、小さく笑い質問に答えた。
「美加がいたからだよ。」
「え?」
「受験会場で美加を見て、また会いたくなってさ。本命受かったけど蹴っちゃった。…一目惚れってやつだよ。」
「嘘ばっか…」
「俺が、美加に嘘吐いたことある?」
「…ない」
章は嘘吐かない誠実な人。
だから、その口からどんな小さな嘘でも言わないから彼の言葉には嘘はない。
そんなところも、大好きだった。そんな澄んだ心の持ち主を。
「だから二年でクラス一緒になったときは嬉しかったな。」
「その前に、友達になってたじゃん。」
私達の出会いはありがちな友達の紹介。
「でも、友達になってたけど…同じクラスになれたときは本当、嬉しかった。」
あの頃に思いを馳せるかのように青空を仰いで、私を満面の笑みで見る。
ドキッ心臓が少し早く脈打つ。高校生の私はまだ体のどこかにいて、思わずときめいてしまった。