章を起こさないように静かにベッドから離れて、お風呂に向かう。っていってもシャワーを浴びるだけだけどね。

「な、なんじゃこりゃ!」


お風呂の鏡を見て、第一声がこれ。

「章め…」

全身、紅い華が咲き誇っていた。−内出血と云う名の忌まわしい華が。

首筋を中心に咲くこれを消すのに化粧どのくらいかかることか。今すやすやと安心したように眠る章をこんなに恨んだのはきっとはじめてだ。

昨日したまま眠ってしまったメイクを丹念に落とし、いつもの通に身体を洗っていく。


お風呂から上がるとまだ私のベッドで寝息を立てる章。その寝顔を見てまた怒りが込み上げる。体中内出血だらけにしやがって!と。


「章。起きて。…今すぐ目を覚ませ!ウェイクアップ!」

おっと、乱暴な言葉遣いをしてしまった。