私はその言葉が信じられなくて、聞き返す。

「お互い、フリーなんだし。また付き合わない?」

ふんわりと綺麗に笑う章。


「…冗談やめてよ、」

「冗談なんかじゃなくてさ。」

ジッと私を見据えてその目を逸らすことができなかった。彼の瞳は、不思議な力があって、その瞳から目を逸らすことが困難だ。

「美加のことずっと好きだったんだ、俺。」

「フったのは章じゃない。」

無茶苦茶だよ、章。

「確かに、俺どうかしてた。ホストファミリーに嫉妬なんてマジ自分でも引く。でも、そのぐらい、お前が好きだったんだよ美加。」

「章…」

「俺、後悔してるんだ。あんな理由で美加を手放したこと。大学生になってから結構彼女が出来た。でも、最低だけど…つい、いつも美加と比べちゃってた。
その度俺はやっぱりお前が好きだって痛い程思い知らされた。だからもう一度、付き合ってくんね?」

「……考えさせて。」


章の気持ちがよく分かった。私達が離れて過ごして五年経って、でも章はその時間の中でも私を、私なんかを好きでいてくれた。

それがすごく嬉しかった。