「俺も、美加みたいな先生に英語教わりたかったわ。がちで。」

「えー?あの先生まだ高校にいるし言っちゃうよ?」


「やめて!」

しばらく見つめ合ってくすっと同じタイミングで吹き出して笑う。

ああ、この感じ。
私、こんな風に章と笑うの好きだったな。幸せだって心の底から思ってた。

「ありがとう、章。」

幸せをたくさんくれてありがとう。

「なにが?」

「内緒!」

人差し指を唇に付けてそう言うと、章は私をふわっと抱き寄せた。

「章?おーい。」

「反則だ、馬鹿。」

いや、これまた意味不明な言葉。

「こんな綺麗になるし、あの頃と変わらずに接してくるし…調子狂う。」

章…

「酔ってる?」

テーブルに置かれた章の飲みかけのシャンパンを一回視界に捉えてそう尋ねるとため息だけが返ってきた。