「坂上がどうした?」
「え!?」
そんな小さな声にも反応する耳のいい村川先生にびっくり。
「あ、その…よく居眠りして…どうしたらいいかなって…。」
「坂上が居眠り?珍しいな、一年の時の坂上はそんなに居眠りばっかする生徒じゃなかったが…疲れてるんじゃないか?柳先生は担任なんだから相談に乗ってやれよ?」
「…はい。」
珍しい?あの居眠り少年が?
やっぱり、最近なにかあったのかな?今度聞いてみよう。
私は小さく頷き、カフェオレに手を伸ばす。
口に広がるぬるい甘くて少し苦いカフェオレ。それはいつもより、苦く思えた。
思い浮かぶのは眠った坂上くんの顔。長い前髪が目に掛かってその端正な顔立ちを隠す。ねえ、私じゃ頼りないかもしれないけれど、話してね。
…先生として、君を支えるから。