そんなこと言われても、最近少し太ったんだよね。
ダイエット始めようと思った矢先にこんな甘い誘惑に襲われるなんて思ってもみなかった。

「いただきます、」

「どーぞ。」

プラスチックの小さめのスプーンで掬って口に含む。生クリームの甘くて優しい味が広がる。

「おいし。」

耳にこびりつく、加納さんの言葉。その言葉が、的を得てるから、私はなにも言えなかった。
言っても、醜い言い訳にしかならないこと分かってたから。

今はまだ、傍にいたい。
坂上くんの笑顔と隣で見ていたい。
そんな気持ちを、どうして抱いているのだろう。

どうして、そう何度も繰り返しオウムのように口にする私は、愚かだ。