「…章、電話ありがと。」

『え、なんで感謝されてんの俺?』

くすくすと笑う声。今、誰かの声を聞きたかった。
泣きそうな私を、励ましてくれるそんな声。

『言ったろ?俺、美加と本当に友達に戻れるときが来たら連絡するって。』

「…戻れたんだね、私達…友達に。」

『ああ。俺、惚気ていい?』

「どうぞ?」

『彼女、できた。』

穏やかな声。本当に優しい、声だった。きっと今の章の表情は穏やかなんだろう。

「どんな人?同僚?」

『美加、知ってるよ。』

「え?もしかして、芸能人とか?」

『違うよ。』

小さく笑う章。知ってる人…。