「私、見たんです。夏休み、マサと先生が手を繋いで、街を歩いてたところ。」

心臓が止まったと思った。身体が固まって、動けない。

「―それだけじゃない。先生、体育祭の前にマサとキスしてましたよね?あの人気のない自販機の前で。」

見られてた。
見られても不思議じゃない。だから、だからこそ自分が情けなくて、自分自身に憤りを覚える。

「先生、立場分かってますか?仮にも教師なのに、教え子とそういう関係になるなんて…非常識です。」

わかってる。
何度も何度も、そう忘れようとしたけど、できなかった。
そう思えば、思う程、彼を愛おしく思えて、いつも頭の中は坂上くんの笑顔でいっぱいだった。