「加納さん、おやすみ。」

「…話があるんです、柳先生。」

表情を変えず、淡々と言う彼女は何を考えてるのかわからなくて少し、不気味にも思えた。

「話…?」

「ここじゃ、少し気が引けるので歩きませんか。」

「…ええ。」

ドキドキと心臓の音が私の鼓膜に届く。この鼓動は、ちっとも心地いいものではない。
彼女の後ろ姿に思わず恐怖、を覚えた。

彼女の話がなんなのか、私はわからないふりをしていたのかもしれない。
薄々、感づいていた。私は勘が鋭い方。だから余計にこの空間から消えたかったんだと、今思えばそうだったのかもしれない。