「っ、」

私はそんな弱々しい坂上くんが見てられなくて、視線を逸らしてしまった。

「―そっか。やっぱり俺、先生にとって彼氏じゃなかったか。そうだよな、俺…ガキだもんな。顔も、イケてねえし、馬鹿だし?先生のタイプじゃないもんな。」

後半早口で坂上くんは言う。そんなことないのに。

「違うの、私…」

これ以上、あなたに嵌まるのが怖いだけ。この恋に幸せを求めてしまうのが、愚かだと悟る私を坂上くんに見破られたくないだけ。
大好きなの、坂上くん。
歳なんて関係なく、立場なんて関係なく、好き。
だから、怖いの。

「―さよなら、先生。」

そう言い残し、坂上くんは屋上を後にした。バタン、と扉が閉まるのと同時に私の視界は滲んで、生ぬるい涙が頬を伝い、手に零れた。