視線を扉に移すと、そこには坂上くんがいた。

「…坂上くん、」

別に後ろめたいことはなにもないけれど、気まずかった。冷たい視線を感じて、身体がまるで金縛りにでもなったかのように動かない。

「やあ!君は確か補習を受けてた生徒だね?」

坂上くんはジャスティンの問い掛けに返事をせず、ただ私を見てた。

「先生、」

「な…なに?」

坂上くんはゆっくり私の方に歩みを進めた。
一歩一歩確実に私達の距離は縮まってく。

また一歩、と進むに連れ、どくん、どくんと心臓の音が大きくなるのがわかった。

後ろめたさなんてないのに、緊張した。
後ろめたさなんてないのに、ジャスティンと一緒に昼食を取っているシーンを見られたくなかった。