私はゆっくり立ち上がって、ジャスティンを見つめた。

「本当に、ありがとう。いくら感謝しても足りないよ。」

「馬鹿だなぁ、俺はなにも感謝されることしてないよ。」

ジャスティンはくすくす笑って、コーヒーを飲み干した。
私も、残ったジュースを一気に喉に流した。

あんなに酸っぱかったオレンジジュース。それが、さっきよりも酸味が強くなかった。少し酸っぱい中にほのかに甘い味がした。

「Good luck.」

そう言い残して、"お兄ちゃん"は私の横を通り抜けた。

爽やかで、でも少し甘いそんな残り香を残して。
昔から、彼はこの香水を使っていた。有名なブランドの香水。その香りを嗅ぐ度に、穏やかな気持ちになれる。

これは恋じゃない。
恋なんてものじゃない。
"家族"に対する愛だ。