私は無言のまま、ずっとそこにいた。ジャスティンの大きな手も、私の頭に置かれたままだった。

私はその頭からほんのり伝わるぬくもりに、身を任せたくなって、ジャスティンの肩に頭を乗せた。

「…ジャスティン、」

「なに?」

「私、ジャスティンがお兄ちゃんだったらよかったな。」

「なに言ってるんだよ?血は繋がってないし、国籍も違う。でも俺達は家族なんだよ、ミカ。」

穏やかな声。優しく髪を梳く白くて長い指。
私を宥めるそのひとつひとつが、涙腺を緩ませる。

「…ミカ、」

突然泣き出す私を、ジャスティンは優しく包み込んでくれた。

私の頭の中はぐちゃぐちゃだった。
大好きな坂上くんのこと。優しいホストファミリーのこと…そして醜い私自身のこと。

堪えようとした涙は、誰かのふとした優しいぬくもりで呆気なく零れる。