ソファーに腰掛けて、辺りをキョロキョロと見る坂上くん。

「先生、卒アルね〜の?」

「あ、あるけど…その本棚の一番下の段…」

まあ、いっか。ちょっと恥ずかしいけど。

私はさっき買ったチューハイとおつまみでいいけど、坂上くんには何がいいかな。―コーヒー好きだし、煎れてあげよ。

「ねえ、インスタントコーヒーでいい?」

「あ、うん。でも砂糖いらねえから。」

私に顔を向けることなく、アルバムに手を伸ばす彼。