兄はなにか含んだかんじで笑う。


「でも、親父たちにはそれなりにきちんと説明してくれよ。この子を『特別な子』だとは思っているだろうけど、危険な目に合わせてもいいだなんてことは思ってないはずだから。きっとほんとは何があったのかを聞きたいだろうけど。それを聞くような人たちではないから、余分な話はしなくていいからね」


兄はすべてを知っているような口調だった。


そして隙がない。



ツッコんで質問したかったのだが、それをさせてもらえない。


ここにガブリエルでもいたのならまた、話は違っていたような気がするが、アイツのようには口も頭も回らない。


特に対人関係とその会話術はまだ未発展としかいいようがない。



「ほら、もう一人の『特別さん』が来たみたいだ。オレがここでコイツを見てるから、キミは説明に行っておいで」



完全に、下に見られていないだろうか?



「オレはいつでもキミたちの味方だよ」



後髪は引かれたが、ガブリエルが来た以上諦めざるを得なかった。