意識のないマリアを背負い、朝帰りした自分たちを。

天林寺の家の者は咎めることなく、すんなりと家の中へと引き入れた。


「なぜ、咎めないのです?」


マリアを部屋のベッドに寝かせるのを手伝う彼の兄に問うと、兄はにっこり笑い。



「何か言えない『大きな事情』があるんだろう?」


と答えた。


「そんなことで納得できるのですか? 普通、身内が意識がない状態で帰ってきたら問い正すでしょう?」

そう答えると兄はまたクスリと笑い「問い正されたいの?」と質問返しされた。


「いいえ」

「オレね」


そう言って、兄はマリアの髪を撫でた。



「コイツは特別なヤツだって知ってるの」


そう言って、こちらを見る。


「たぶん、キミも特別ななにかだよね?」


なんでわかるんだ?

人間だろう?


「勘……って言いたいところだけど、実は確信がある」


もしかして、もしかするのか?



「いつかちゃんと話すよ」