「でも、芦谷残念。俺は被害者じゃないんだよ。」

目線がしっかり合って、表情は真剣だった。
それに、なんとなく被害者じゃないのは分かった。

宇建の態度が、俺にはまだよくわからないけど‘大人’だったからだ。

続けて、宇建は話し始めた。

「俺も、去年だったかに課長に呼び出されてさ。芦谷ほど強引に誘われたわけじゃなかったけど、取りあえずためしにって形で一ヶ月契約したんだ。」

時折、たばこに口を付けながらゆっくりと話してくれる。

もしかしたら、宇建は二番目に大切な親友になるかもしれないと思った。