課長は突き当たりで止まると躊躇せずにドアを叩く。

「勲樹ぃ〜、入るぞ。」

神様、どうかこの無礼な男を許してやってください。

俺は、本気で願った。


…?イサキ?

どこかで…。

「どうぞ。」

ドアの向こうから重々しく、でも優しい声がして課長はノブを回した。

と同時に、俺の中で引っかかっていた疑問の一つが解決された。


旬送社会長、雨宮 勲樹。


部屋の一面ガラスの手前に置かれた机。

その上にあるプラスチックにそう書かれた文字は、はっきり見えた。