「まぁ、いいわ。」

そう言うと奴はビニール袋を奪い取り、さっさと奥へ行ってしまった。


「え?」


タイミングを失って今頃出た間抜けな疑問は、広い玄関にむなしく響いた。


「よくわかんない奴…。」


絶対、‘あんたに何言ったって無駄だもんね。’とか‘誰のおかげでいい給料もらってると思ってんの?’とか言われると思ったのに、かなりの拍子抜け。