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「あんのクソヤロォーッ…。」

言っても仕方ない文句を小声で言って、振り返る。

よし、誰も聞いてない。

聞かれたりしたら大変なのだ。
特に、雨宮家の関係者…。

でも、今はそれより大変なことが起こっている。

電話が来てからもう、六分以上がたっている。

運の悪い俺はアイス(すんげぇ、高いヤツ)を二つも買うだけのお金をあいにく持ち合わせていなかったために朝から行列を作るATMに並ばないわけにはいかなかった。

キング・オブ・不運。