「たかが、17歳がえらそうなこと言うな…。」

雅耶の目は本当に怒っていた。

いつもテレビで見てる、演技の怒りじゃなくて本物の怒り。

その目と言葉が私の気持ちを触発させた。

「何よ…殴るくらいならなんか言い訳すればいいじゃない!!私、あんたがいなくてもっ…。」
あぁ…ホントにガキみたいで自分が嫌だ。
もう、最後までカッコつけてこっちが遊んでやったって言ってやろうと思ってたのに。
なのに、なんで泣きそうなのよ…。


「あんたなんていなくてもっ…。」


その時、言葉が詰まった。
いよいよ嗚咽でまともに喋れなくなったと思った。
けど原因は嗚咽じゃなくて、最後のキスだった。



3秒だけ、
その場の時間は止まった。



「ごめん。」


そう言って雅耶はそれ以上何も言わずに出ていった。
顔は見えなかった。
けど表情は分かった。
背中が泣いてたから。



雅耶が出てってから、何となく触った頬はまた痛みがしっかり残っていた。

「失恋…か…。」

雨宮 莉真 17歳にして失恋回数、数え切れません。
でも、…


「最後の愛だけはいつもちゃんと伝わんのよね。」