あたしの最後の夏休みも残り半分を過ぎた。
そんな日、隼人に昼御飯に誘われた。
って言っても、あたしの中学の近くのファミレスだけど。
何か話があるって言うから。
何だろうなぁ?
まぁ、告白じゃないのは確かだよ。
隼人は失恋したばっかだし。
「ごめん。ちょっと遅れた!待ったよね?」
手を大きく振って隼人に呼び掛ける。
まるで恋人同士がするような会話。
こんな会話が星斗と出来たらいいのに…
「ぜーんぜん!あそこでいいですよね?奈々さん」
相変わらず、隼人は敬語だけど大分心を許してくれたような気がしないでもない。
ほとんどは敬語でも、ちょっとはなくなってきたし。
「いいよ。お腹空いちゃった。早くいこ!」
久しぶりに何か楽しいかもしれない。
沙耶も翔太もラブラブだから邪魔しちゃいけないし。
楽しみな事と言えば空と遊ぶことだった。
空はもうやばいくらい可愛い。
空と遊んでると星斗に会えない事とか受験の事とか忘れられた。
やっぱり兄弟はいいなぁ!
…生まれる前はいらないとか思ってたけど。
今は全然思ってないからね!空!
ちりん
花屋とは違う鈴の音。
ちょっとだけ悲しくなった。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
貼り付けたような笑顔の店員がお決まりのセリフを言ってくる。