大きな声をあげて急にブレーキをかけるから隼人の背中に思いっきり鼻をぶつけた。
い…痛すぎる…

「もう…隼人、急にとまらないでよ…」

鼻をさするけど、ちっとも治らない。
この急いでる時に…

「奈々さん、俺もう買ってきちゃうよ?ちょっとここで待ってて」

隼人はそう言ってコンビニの中に入ってしまう。
待ってくれたって…って今そんな時間ないんじゃん…
それにしても一人で待ってるって何か振られた気分になるから嫌なんだよね。
そう言う目で見られるし。

「…勝手に置いてくなよ…バーカ」

足もとにあった石ころを蹴ってみる。
鼻はさすがにもう大丈夫だけど、今からコンビニに入るのは何だかあたしのプライドが許さない気がする。
だって、いかにも一緒にいたい!って言ってるみたいで。

ふっとレジを見ると隼人が見えた。
何だか店員さんと笑って話してる。
あー可愛い店員さんだな。
…こんな風に思っちゃうあたしが隼人に恋するなんてやっぱ無理。
だってやきもちとか全然妬かないし。
むしろ頑張れって応援しちゃいたいし。

じっと隼人を見てると少しだけ星斗に似てるところがある。
兄弟だしね、そりゃ似てるよね。
だけど、似てるとこ見つけるとはしゃぐのは内緒。
怒るでしょ…いくらなんでも。
兄弟とは言え違う人間なんだもん。
そう言うのはきちんとできるようにする。