「おーい、こっちだぞぉー奈々ぁ」

病院の近くの公園であたしを呼ぶ声がした。
見ると手を振ってる奴がいる。
こんな事をするのは翔太。

「うん!待ってて」

少し小走りになって翔太の元に駆け寄る。
翔太は幼なじみ。
そんであたしの親友の沙耶と付き合ってる。

2人はラブラブであたしは時々羨ましくなる。

沙耶はどっちかと言うと強気な女の子。
だから翔太はチャラ男のくせに尻にひかれてる。

全員受験生だけど、今日は息抜き。
3人で花火大会に行くことになってる。
翔太は2人で行きたかったらしいんだけど、沙耶があたしも誘ってくれた。

ほんとは遠慮するつもりだったんだけどすねてる翔太を見て、くることにした。
ちょっと沙耶のSさが入ってきてるのかな?


「おー沙耶かっわいい~」

あたしは完璧翔太を素通りして沙耶の元に駆け寄った。
沙耶は黒い浴衣を着てた。
小悪魔っぽい感じが出てるけど、沙耶の場合実際に小悪魔だからぴったしくる。
茶色の髪をお団子にしていて美人が際立ってる。

「奈々も可愛い~」

そう言って沙耶は抱き付いてくる。
それを見て翔太が少し悔しそうな顔をした。

あたしの今日の格好は甚平。
濃いピンクの今日のために買ったやつ。
おしゃれな沙耶と違ってあたしは何色にも染めてない長い髪。
沙耶はそんな髪を綺麗だって言ってくれるから好き。

もしかして、沙耶と翔太よりあたしと沙耶のがラブラブなのかな?


「おい~もう行こうぜ」

翔太が仲間外れに耐えきれなくなったのか沙耶の袖を引っ張ってる。

「もうーちょっとぐらい待ってよね!じゃいこっ奈々」

沙耶はあたしの手をギュッと握った。
慌てて翔太が沙耶の手を握る。
そんな翔太を沙耶は愛しそうに見てる。
翔太が視線に気づいて沙耶に笑いかけると沙耶は赤くなってあたしの方を向く。

そんな繰り返しが結局、花火を見る河原に着くまであった。