セバスチァン、俺がモテモテになるのは難しいみたいだ…。

心の中でセバスチァンに呼び掛ける。

もちろん、返事はない。


「姫君たちの心が曇るような真似をして、申し訳ない。俺に何かお詫びが出来ないだろうか…」


姫君たちがざわめいた。

……難しいこと言われたら、困るな。


「それでは、王子。この中から一人、今宵のお相手をお選びくださいま…」

「王子!」


姫君が言い終わる前に、よく知った声が俺を呼ぶ。

顔を見なくても分かる。

クリスティナだ。


「王子、セバスチァン様がお呼びです。お戻り下さいませ」

「あぁ、今行く」


セバスチァンが何の用だろうか。


「すまない、この埋め合わせは必ず」

「あぁ…王子…」


残念そうな顔をしてくれる姫君たちに別れを告げて、クリスティナのところへ向かった。