優しい女たちに迎えられて、俺は少しジーンとした。

皆、俺を気遣ってくれる。


「王子はもう少し表へ出て来てくださいませ。

私どもは王子にお会いするのを楽しみにしていますゆえ」

「ほんに。今日はなんという幸運」

「新しいドレスを繕ったかいがあったというもの」


姫君たちは口々に俺を褒める。

お、王子だからってそんなに褒めてくれなくていいっ!

俺は叫びたいのを堪えて、精一杯の笑みを浮かべた。


「俺には勿体なきお言葉…」

「まぁ、謙虚なお人」

「そういう、つれないところがまた憎らしいわ」


姫君の一人がそう言うと、ぱちんと音を立てて、扇子を閉じた。

その言葉を聞いて、俺の顔は青くなった。


…俺は憎まれていたのか。