「しかし、どうしたらあのクリスティナが悶えてくれるのだろうか…」
俺は深く深くため息をついた。
愛しい、愛しい、クールで冷静なクリスティナ。
「悶えるクリスティナですか…」
セバスチァンは想像が出来ないという顔をしている。
俺にも出来ない。
だが、見たい。
きっとそれは可愛いに違いないからだ。
「王子…あれかもしれませんぞ」
「なんだ」
「けぇたい小説の俺様は女の子にモテモテだったはず。モテモテなのに、たった一人の乙女を選ぶから、乙女も胸がきゅ」
「それはいい」
また、悶えようとしたセバスチァンを手で制する。
「で?」
「思うに、失礼ながら王子はクリスティナばかり見ているので、あまり他の女性と交際していないのでは…」
「!!」
確かにそうだ。
俺はクリスティナ以外は目に入らないから、他の女のことなんて、何も知らなかった。
「よし、俺は今から女たちと喋りに言ってくる!」
「おお、王子。ファイトですぞ。
女性に囲まれた王子を見れば、クリスティナだって冷静ではいられないはず」
「そ、そうだな!」
セバスチァンの応援に見送られながら俺は部屋を飛び出した。