男の人は、意味が分からないといった表情で私を見た。
それもそのはず。いきなり今の日付を言え、と言われれば。しかも、向こうにとったら人質の立場にいる人間に言われれば、少なからず驚くだろう。
「いきなり何を申すかと思えば…」
「とにかく、答えてください!」
少し面倒臭そうにため息をはくと、ゆっくりと口を開いた。
「1865年9月18日」
…やっぱり、そうなんだ。
この人は、今じゃない、過去の人。
「…それがどうかしたのか?」
「……一つ、貴方に言わなければならない事があるんです。信じてもらえないかもしれませんが」
「何だ?」