「ねぇ、彼女と最近なんかあったの?」

「最近?別になんもないよ」

「そう。ならいいけど」

嘘。なんかあって欲しいって思ってるのに。私の右側を歩く慎也を見上げると、

『ん?』

と優しく笑ってくれる。
途端私の脈は速くなって、慎也にまで聞かれてしまいそうな気がする。

「今日はもう帰ろ。私疲れたよ」

「実菜の部屋に行く」

「だからこんな夜中にだめだよ。帰りもタクシー代もったいないよ」

「よし、ここからタクシーで行こう」

そう言うと、慎也は私の腕をつかみタクシーをとめた。

押し込まれるように乗せられる。

慎也の顔を見ると。

……ものすごく、嬉しそうに笑ってた。