「へ?」



瞳とは対照的な、とても優しい声。



思わず変な声を出してしまった。



男の人はにっこりと笑って、私に手を差し伸べた。



「あ、だっ…大丈夫です!!すみませんッッ!」



私はあわてて大声で謝って、男の人の差し出してくれた手を遠慮がちに握った。



男の人はゆっくりと手を引いて、立ちあがらせてくれた。



「あ、ありがとうございます!」



「いいよ、別に」



かしこまりすぎる私に、男の人はクスッと笑う。




このときに気づくべきだった…。



この出会いが、私に不幸を齎(モラタ)すことになる出会いだということに…。