それだけで…もう充分だよ…。



『だからね、癒杏ちゃん。雪兎を見送りに来てあげて?』



沙紀さんのとても優しい声が耳に響いた。



私はベットから起き上がった。



そのとき、私が顔を埋めていた毛布に手が触れた。



…濡れてる。



あれ?私、泣いてないのに。


もしかして、寝ているときに…。



私はこんなに泣くぐらい、雪兎のこと、好きになっていたんだね。



「…行けたら、行きます」



私は自分の気持ちの整理がつかなくて、曖昧な返事をしてしまった。