『…バカね。そんなの、一時的な感情よ。ずっと私が傍にいたから、勘違いしたのよ。私のこと本当に好きなら、日本に着いたとき“関わるな”なんて言わないでしょ?』



呆れたような、なだめるような口調。



『だから…雪兎を見送りに来てあげて?』



「なんで…そんなこと言えるんですか…?沙紀さんも…雪兎のこと好きじゃないんですか?」



そう言うと、沙紀さんは一瞬黙り、口を開いた。



『…好きよ。でもね、私一応大学生だし、高校生の恋の邪魔なんてしたら、大人げないでしょ?

それに…私、気づいちゃったの。雪兎が癒杏ちゃんを好きっていう気持ちが、半端な気持ちじゃないって』



「……」



私は言葉を失った。



それと同時に、沙紀さんは大人だなぁって思った。