「なによ!」



「癒杏。俺のこと覚えてない?」



「覚えてない!だいたい、あんたのこと知らないから!」



「「まあ、ひどーい!佐伯様にそんな口きくなんて…!許せなーい!!」」



いつのまにか周りにいた女の子たちが、私に向って叫んだ。



あぁ、さっきのきゃーっていうのはこの子たちが言ったのね…。



「璃乃。いいよ」



「でも…っ」



「いいんだ」



「さ、佐伯様…」



少年は私を見つめて、唇の先端を少しつり上げ、呟くように言った…。

「俺のこと、かっこいいって思った?」