人はいつから水を求めなくなったのだろう。

あたしこと佳良琳玖(かりょう りく)はそう思う。

水はいつだって人を助けてきたのに人は何か汚点があるだけで求めるものを決めつけてしまうのだ。
だがあたしは違う。
あたしはいつだって水を求めているのだ。

あたしの条件はいつも「水」だった。

これは「水」に関わるか?ここには「水」があるか?

そんな感じ。

だからこの短大も、その条件で決めたはずなのにー…



「………真っ白。」



なんだこれ。

あたしが求めていた蒼は?

水の中から見えるあの青空は?

どこ?どこにある?
なぜ、ここはこんなにも真っ白なの?

この短大を選んだのは条件の「水」があるか…つまりプールがあるかなんだが…。
確かにある。…が。
空が白い。

蒼じゃない。

青空がない!

何だこれ。

おまけに水泳部はあることにはあるが活動はほぼなし。

確かに見学会の時は近年大会出場の記録はないと聞いていたが、活動自体がほぼない。

話に聞くとプールを使っているのは、ほぼライフセービングというサークルが使っているらしい。

…知るか!

だったら他の大学に行けばよかったのでは?

いや、理由はあったのだ。