ぬくもり



あのとき
繋がれた右手を
どうか離さないでと
願ってしまったのは

君の左手が
あまりにも温かく
あたしを包んでくれたから

最初から
そんなつもりがないのなら
あのぬくもりも
高めの体温も
知りたくなんてなかったのに

知らなければ
幸せに
笑っていられたの
かもしれない


けれどなぜ、

君の手を
握り返してしまったんだろう

気がつけばいつも
もう逃げられない
がけっぷちに立っていて
あたしに逃げ場はなくて

追い詰められたあたしは
やがて深い海へと沈むのに


なぜあたし、
君を愛してしまったの
君のぬくもり
探し続けるちいさなあたし