相棒が寝てしまったので、俺は自分の席に戻り、数学の教科書を開いた。
 数学は授業の始めに必ずミニテストをするので、その予習をするためだ。

 でも昨日は期末試験があったし、今日はその解説をするはずだから、ミニテストはなしかもな、などと考え、視線を教科書から斜め前の席のアサギへ移す。

 突っ伏した背中が規則正しくゆっくり上下に動いている。

 もう寝てしまったのか。

 その背中には、艶やかな黒髪が流れている。
 だいぶ伸びたな、正月は確か肩ぐらいまでの長さだったよな、今日はちょっと寝癖ついてるな、などと我が相棒についてちょっと観察した後、再び視線を教科書へ戻す。